建設業の労災保険について
労働者は通常は、所属する会社の労災保険で守られています。しかし、建設業労災保険の場合は制度が違っていて、請負関係で事業が行われているため、下請の事業所で働く労働者は、元請の労災保険で保護されることになります。保険料についても、請負金額を基にして計算されるため、元請のみが支払うことになっています
また、建設業では、さまざまな危険作業が伴うため、労働者の災害補償責任は、元請が負担することになっています。しかも、建設業においては、労災保険は強制適用されます。1人でも人を使用する場合は、労災保険の加入義務が生じます。それは、臨時雇や日雇、アルバイトなど雇用形態には関係なく、業務災害が発生した時には労災保険の受給権が生じます。
<業務災害とはどんな時?>
まず、業務災害と認定されるには、業務が原因で災害が発生し、その災害が原因で死傷したり、病を得たりする場合に認められます。つまり、業務と間に関連性が認められる必要があるということです。また、労働者が労働契約に基づいて、事業主の支配下にあることも条件です
<その具体的条件は?>
・事業主の支配・管理下にて、業務に従事している場合
ただし、天災事変が原因の災害には認められない。
・事業主の支配・管理下にあるが、業務に従事していない場合
休憩時間中の自由行動などが該当する。業務災害とは認められない。
・事業主の支配下にあるが、事業場を離れて業務に従事している場合
出張中に業務を行っているときなどが該当。
< 給付はどんなものがあるか?>
・療養補償給付・療養給付………
病院等の治療費を支給。治療費の全額が支給される。
・休業補償給付・休業給付………
休業期間中の保障として、休業4日目より給付基礎日額の6割支給。
・傷病補償年金・傷病年金………
傷病が長引くと、補償給付から年金給付へと替わる。
・障害害補償給付・障害給付……
後遺障害が残った場合、障害等級により年金か一時金が支給される。
・介護補償給付・介護給付………
障害年金、傷病年金を受給中、介護が必要な状態に支給される。
・遺族補償給付・遺族給付………
被災労働者死亡のケースは、遺族に年金か、一時金が支給される。
以上のように、建設業労災保険は、建設業という危険が伴う作業に従事する建築関係労働者の安全性を保護してくれているのです。