建設業労災手続き※手遅れになる前に※

建設業労災手続きの方法と労災保険の必要性について解説

建設業における労災保険の現状

建設業労災保険について理解するためには、この業界特有の「一人親方」について理解を深めておく必要があります。「一人親方」とは文字通り自営業者でありながら現場では労働者として働いているのですが、何故建設業界にだけこのような働き方が多いのか過去の経緯について説明します。大きな要因としては公共事業の減少や低価格競争の激化により、元請から一次下請、一次下請から二次下請と厳しいコストダウン発注が繰り返されたため、実際に工事を行う業者は労務費の圧縮と手取賃金の確保という両面から、本来労働者であるはずの者を「一人親方」とすることで社会保険料負担から逃れるという

手段を編み出してきたという経緯があります。つまり本来は雇用契約であるはずが請負契約の形態となっており、普段は作業員として働いているが、給料ではなく請負代金としてお金を貰っているということです。

ここで法律はどの様になっているかというと、労災保険の場合には原則として自営業者は適用範囲外となっていますが、「一人親方」のように業務の実態が労働者に近く、災害が発生する可能性が高い業態に対しては特別加入制度が設けられています。

しかしながら法律が整備されていれば労災保険に加入しているかといえばそうではありません。元々雇用者側は社会保険料負担から逃れるために請負化したのですから、「一人親方」にとっても手取りを少しでも増やすために社会保険に未加入のケースは多々あります。

2020年の東京オリンピックに向けて建設業界の人材不足が問題になり始めていますが、この様な処遇で人を集めることは難しいと思います。今後作業員単価は上昇していくと思われますが、それを各業者が利益として計上するだけでなく、一部は作業員の処遇改善に充てていってもらいたいものだと思います。